看護業界は慢性的な人材不足の状況ですが、これは少子高齢化だけが要因ではありません。まず医療マーケットの拡大が関係しています。2010年度の介護保険の総費用は約10兆円でしたが、毎年増加していて、2025年には2倍の約20兆円にものぼる見込みです。それゆえに看護師のニーズが高まっています。
また、今から約10年前の2006年に7対1看護制度が導入されたことも大きく関係しています。この制度の導入によって企業は看護師の数を増やさなければならなくなりました。そうして本来であれば看護師の数が足りているようなところでも、不足することになったのです。統計的データを確認してみると、日本全国において看護師の数が4万人足りていません。しかしながら、看護師資格を持っている人で看護師職に就いていない人の数は全国で約50万人も存在しています。
最近は看護業界における勤労条件が非常に改善されたというニュースをよく聞きますが、それは企業がこのような潜在的看護師に復職してもらいたいからです。ちなみに、看護師の平均年収を他の職種と比較すると、その勤労条件がいかに魅力的なのかがわかります。求人案件に記載されている年収の平均は450万円です。これは女性の多くが就業する事務職の平均年収の2倍近くも高いです。女性の事務職の平均年収はおよそ250万円前後です。企業がいかに看護師という職種を重要視しているかがわかります。