医療現場の仕事を表す「3K」について

看護業界における医療現場の仕事は、「3K」と表現されることがあります。これは、「きつい、汚い、危険」の3つを表します。少し自虐的な表現ですが、現実の一端を表していることには、間違いがありません。また、看護業界の仕事の特徴や現実をうまく言い表しているとも言えます。

まず、「きつい」。ナースステーションから病室に移動して、ベッドサイドケアをするのでありますから、デスクワークのような静的な仕事でなく、能動的でかつ、効率的な仕事が期待されます。また、様々な介助や体位変換には、体力を要することがあります。これらのことを表現しています。次に、「汚い」。現物の人間は、実習モデル(人形)のようにきれいではありません。排泄もしますし、血液を含めて他人の体液は、通常、汚いと感じることも否めません。ところが、人を看護するためには「清潔・不潔」の区分や取り扱いや処理の方法の知識を正確に持って、人間愛に根ざした取り組みが期待されるのでそのようなことは言ってはいられないのです。最後に「危険」。注射針をはじめ、医療機器には鋭く尖ったものが多くあり、取り扱いを誤れば大きな怪我する可能性があります。また、感染の疑いのある患者の注射針を自分に刺してしまう「針刺し事故」も残念ながら後を絶ちません。

これは一例ですが、単に「危険」と感じるのではなく、医療機器の使用方法の誤りは重大な医療事故につながりますし、医療現場において、十分注意して、再確認して仕事に取り組むことで「危険」を避け、対処していくしかありません。こうしてみていくと、「3K」とは、ネガティブワードでなく、看護業界の現状の一部を端的に表現しているとも考えられるでしょう。

高い看護業界の求人率について

看護業界の求人率は、非常に高い状況にあります。「看護師不足」と言われるように求人率は100%を超えていると考えて間違いがないのでしょうか。少なくともいわゆる大病院にとって、看護師の採用数を確保するために大きな努力しています。一例としては、看護師に対して、就職・就学資金(医療機関によって名称が違う)を貸与していることが珍しくありません。貸与(お金を貸してもらうこと)といっても、所定の年限(3年から5年)その病院に勤続すると返還することが免除される制度となってます。言い換えてみれば、医療機関が指定する年限を勤続すると数十万円か百万円前後の資金を支払っても看護師を採用・確保したい状況にあるということです。

このような制度や条件は、その医療機関によって異なりますが、看護業界においては、人材不足であることが端的にわかる事例に間違いがありません。看護師不足の解消のため、大学の看護系学部の新設が進んでいますが、年間に養成できる看護師に限りがありますので、看護師不足の状況が続くと考えられています。その理由は、日本において急速に進んでいる少子高齢化社会による看護業界に対するニーズの高度化や多様性も同時に進んでいることとされています。質の高い看護を求める人や機会が増えてきているということでしょう。

この状況は、当分続くと予想されているので、就職できれば、安定した仕事が確保されていると考えてよいでしょう。しかし、看護職は、国家試験にパスした資格保持者しか担うことができない限られた人の職場であることには、間違いがありませんのできちんとした責任感は必要です。責任を担う立場に立つ以上、後から「予想と違う」と言わないように看護業界の現状を把握した上で目指しましょう。⇒現状を知る参考に⇒看護業界まるわかりガイド